ゴー宣DOJO

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切通理作
2012.10.22 01:40

黙っていられない!ヒーローの本質

 第31回ゴー宣道場「サブカル・ヒーローの本質に迫る」昨日UPされた笹さんのブログで、テーマの展開にひねりがひとつ加わったと思います。

 発想の幅を広げる時にまで
サブカルというか架空の存在に
こだわる必要はないのだな、と。


 みんな世代も違うし性別も違って、
見てきたものも違うのだから、
地方地方のローカルな話題と同じように、
お互い話がわからなくなる。

 

 今度の論議に参加するに当たって、
ヒーローものに全く触れてこなかった人に
「これだけは必見」というのは、
正直ハリウッドのメジャーな、
アメコミ発のヒーローものを1本ないし2
~3本、
でいいと思います。

具体的に言えば『ダークナイト』『スパイダーマン』、
あと、アメリカ人のヒーロー観が出ているという
意味では『キッス・アス』あたりで十分ではないでしょうか。

 

 日本のヒーローは、テレビシリーズを母体にしている
ものがほとんどで、見るのは大変だと思いますし、
正直子ども達プラス、ファン向けの商売の域を
残念ながら出ていません。

 

 スパイダーマンやバットマンなど
ハリウッド映画のヒーローには、
原作のコミックを読んで育ってきてない国外の人間まで
映画一本で伝播する力を持っているのに、

日本のヒーローは
せいぜい世代体験ぐらいにしかならないのは、
なぜだろうか。

単なるマーケットの大小だけの問題なのか?
ということも重要だと思います。

 

 しかし、それはひとまず置いておいて、
現実の政治家に、ヒーロー像を当てはめてみる
というのは、なるほど!と思いました。

 

 たとえば安倍晋三はヒーローなのか?

 
 

 たしかに<美しい日本を守る>ってフレーズは、
ヒーローっぽい。<緑の地球を守る>というような
ニュアンスです。

<戦後レジーム>なんて、
なんらかの理由で悪玉に
占領されてしまった異次元空間のようです。

 

 ウルトラマンが三分間しか戦えないように、
安倍さんにも、ストレスがかかりすぎると発病して、
場合によっては死に至るという<弱点>があります。


 責任ある立場にそんな病気の人が座ることを
願う声が多数あるというのも、大きな力
(政治家の場合は「権力」に置き換えられるでしょうか)
を持ちながらも、

<弱点>を持っているからこそヒーローにふさわしい
と考えるなら、
そんなに不思議なことでもないのかもしれません。

 

 最近のヒーローものでは、
市民が小さな力を結集してヒーローを応援して、
逆に力を与えるという構図がよく見られます。
ネトウヨの皆さんが安倍さんを応援しているのは、
まさにそんな気分なのかもしれません。

 

 しかし、そういう部分がヒーローに当てはまっても、
あくまで表面的なことだという人もいるでしょう。

 

 実は僕も、現実の政治家にヒーローを求めることは、
いまの段階ではあまりないな、と直感的に思います。

 けれど、笹さんが言うように、
それでいいの?とも思います。

 

じゃあなにが本質的に「ヒーロー」っぽいのかと考えると、
僕なりに思うのは、ヒーローの行動原理は、
肉親に対する情を公の問題に感じる、
ということにあるのではないか、と思うのです。

 

昨日私がブログに書いた話題でもありますが、
スパイダーマンは、主人公が肉親同様の人間に
危害を加えられて、始めてヒーローに目覚めます。

 

スパイダーマンの最新作『アメイジング・スパイダーマン』では、
大きな力を持っているのに、
「自分には関係ない」と犯罪を見逃していたら、
その結果育ての親たる叔父が殺されてしまいますが、

生前その叔父が最後に携帯に残してくれた
自分を励ますメッセージを聞くところが
映画の最後の方に出てきます。

 

実の息子同様であるお前こそが自分の誇りだ、
いわば自分にとってのヒーローなのだ・・・と。

 

 これを吹きこんだ叔父は、
息子がスパイダーマンだとは知りません。
大きな力を持っているのも知りません。

 ただの悩める十代の青年に、
励ましのメッセージを送ったのです。

 

 それが、スパイダーマンとして
立ち上がろうとする彼に勇気を与えたのです。
 まさにヒーローの行動原理です。 

 

 すべての人間を肉親同様に感じることなど
現実には不可能です。

 不可能なことがやれるから、フィクションなのであり、
だからこそ夢があるのでは?と私は思ってきました。

 

 しかしその考えも、
最近ちょっと揺り動かされる出来事がありました。


 それはほかならぬ、前回のゴー宣道場において、です。

 いま動画がUPされていますが、
先日のテーマは慰安婦問題でした。

 

 かつてテレビで「慰安婦の強制連行があった」
という人たちと「5対1」で論戦した時のことを、
小林さんは振り返っていました。

 

 1対多数で戦って勝利を収める
というのも、ヒーローっぽいかもしれませんが、
いま書きたいのはそのことではありません。

 

 実は小林さんは、「慰安婦の強制連行があった」
という新資料がもし敵側から提示されたら、どうするんだ?
という思いがありながら、それでもその場に臨んだというのです。

 

 なぜ、そんな不安がありながらも
小林さんは一人で論争の場に向かったのか?

 

 先日の道場では第一部の終わりに、
そのことを僕が質問しました。

 するとそこで時間が終わり、後は第二部で、
となったのも、まるでCM前にクライマックスが来る
テレビのヒーロー番組みたいです・・・なんてことを
言いたいのではありませんすみません。

 

 第二部が始まると、小林さんは休憩時間の間に
当時の色んなことを思い出した・・・と言って話を始めました。

 
 

 実は当時保守側からも
「もし強制連行を示す証拠が出てきたらどうするんだ」
「かえって恥をかくことになる」「日本の打撃になる」
などと、小林さんは吊るしあげられたというのです。

 

 しかしそれでも立ち上がった根本の理由は
「もし自分の肉親が性犯罪者の汚名を着せられたら、
黙っていられるのか」ということだった、と。

 

 僕は目から鱗が落ちました。

 自分の肉親が冤罪にかけられているかもしれない。
 そう思ったら、「全部の証拠が出てくるまで静観している」
なんて真似は、到底できない。

 たとえ後で自分自身が不利になっても、
捨ておけないことがある。

 

 ひるがえって安倍さんはどうでしょうか。

 アメリカで<慰安婦は性奴隷>
なんていう言葉が使われても、
「見て見ぬふり」をしています。


 そう考えると、もっともヒーローに
ふさわしくない人間に思えてきます。

 

 他にも、笹さんがおしゃるように、
橋下徹はヒーローなのか? 野田首相はヒーローなのか?
ということなど、考えてみるのも面白いかもしれません。

 

 そして小林さんの取った行動は、日本人のためですが、
しかしその行動は「日本人離れ」している気もするのです。

 

 実はこの辺が、笹さんの言う「私たちがヒーローに求める
『あるべき姿』の欠陥」が見出せるのではないでしょうか。

 

  今回そこまで話が出来れば、

 道場の中でも、本質的な話が出来るのでは?

と思います!

第31回ゴー宣道場「サブカル・ヒーローの本質に迫る」

平成24年11月11日(日)午後1時 から
アットビジネスセンター東京駅八重洲通り にて開催します。

「アットビジネスセンター東京駅八重洲通り」
(住所:東京都中央区八丁堀1-9-8 明光商会本社ビル4階)は、
JR 『東京駅』八重洲口 より徒歩10分、
日比谷線 『八丁堀駅』
A5出口 より徒歩2分です。

毎回、会場の場所が分からず迷われる方が、多くいらっしゃいます。

会場のHPにて、場所をよくご確認の上、ご来場下さい絵文字:重要
(HP掲載の、駅から会場までの地図を印刷し、持参されることをオススメします )

詳しくは、http://abc-kaigishitsu.com/tokyo_yaesudori/access.html でどうぞ。

入場料は、お一人1000円です。

参加ご希望の方は、

往復はがき に、『第31回参加希望』 と明記、

さらに、


1.
氏名(同伴者がいる場合はその方の氏名と続柄・関係など)

2. 住所

3. 電話番号
4. 年齢

5.
職業(学生の方は学校名)
6.
募集を知った媒体
7.
応募の理由と道場への期待

返信はがきの宛名には、ご自分の氏名・住所をご記入の上、

152-8799

東京都目黒区目黒本町1-15-16 目黒郵便局・局留め

『ゴー宣道場』代表・小林よしのり、担当・岸端


まで、お送り下さい。

応募〆切

平成24年10/31(水)必着

当選された方にのみ当選通知を送らせて頂きます絵文字:記念日
当選通知の送付は、応募〆切後になりますので、しばらくお待ち下さい絵文字:よろしくお願いします

皆様からの多数のご応募、お待ちしております絵文字:重要絵文字:晴れ

今回より、応募は

従来の応募はがきに加え、
このホームページからも
受け付けることになりました!!
↑のHPメニューの右端に
「道場参加申し込み」
というのができました!

これをクリックして、申し込みページにお進み下さい絵文字:よろしくお願いします
入力必須項目にご記入の上、お申し込み下さい絵文字:重要絵文字:メール

お申し込み後、記入されたメールアドレス宛に
「申し込み確認メール」が届きますので、
ご記入内容に間違いがないか、よくご確認下さい。

申し込み〆切後、当選された方にのみ
「当選メール」を送らせて頂きます。

当選された方は、道場当日、

その「当選メール」をプリントアウトの上、

会場までご持参下さい。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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